
かし、どの企業もCALSの方向に向いていることは脇忍できた。とくに自動車産業では、AIAG(オートモティブ・インダストリ・アクション・グループ)協会(自動車工業会に相当する)がイニシアティブをとり、AUTO STEPパイロットプロジェクトを編成して、部品関連企業やCADベンダーも含めて第一次から第三次下調企業まで巻き込んで、第1フェーズを完了して第2フェーズに入り、STEPの導入を中心に積極的に推進していることがわかった。そして全てのCADベンダーは、2000年までにSTEP対応を実施するということを約束しだそうである。
第2フェーズでは、第1フェーズ完了の実績をもとに、STEPの導入を技術プロセスのみに限定していた活動の対象を、ビジネスプロセスにまで拡大してSCIP(スキップと発音)(サプライ・チェーン・インテグレーテッド・プロダクト・プロセス・ディベロップメント・プロジェクト)というテーマを掲げて活動範囲を広げ、ロジスティックスのBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を推進していることがAIAG協会の説明でわかった。
クライスラー社の説明では、米国産業界の中で航空機産業を除げば、自動車業界がCALSの導入ではトップを走っており、なかでもクライスラー社がビッグスリーの中で最も進んでいることを誇りにしていた。
2.6 国際IE協会の活動の動向
1996年度の国際IE会議で取り上げたテーマを一覧すると、今までと少し違うことに気がつく。今までは製造プロセス中心の生産技術に関するテーマであった。しかし今回はビジネスプロセスに属するテーマとくにロジスティックスに関連するテーマや愛発注業務のEC(電子商取引き)化などである。これはIE活動そのものの変革を意味するもので、産業界を取り囲む環境の激変に国際IE協会自身も変革を迫られているわけで、今回の国際IE会議がその最初の対応と考えられる。
3. 高性能暗号技術の利用
インターネットのようなオープンネットワーク環境において電子商取引を安全確実に行うための暗号技術については、現状ではまだ十分でないと言われていた。従来は米国政府は、国家安全保障上の理由から、高性能暗号技術については国家管理としてきた。したがって、絶対に漏洩してはならない秘密のソフトを海外に送信する場合には、米国国務省認可のクリッパー・チップ(40ビット)を使用する必要があった。しかし、インターネット上で本格的に電子商取引を行うには、40ビットでは不足で最低でも64ビットは必要であると言われていた。このような中で米国政府は、インターネット経由で高性能暗号技術を搭載(128ビット)したソフトの配布を認可したのである。これを契機にインターネット・ビジネスが一層加速されることが予想される。
このような米国の動向から、日本国内でも高性能暗号技術については早急に国家管理下に置き、た
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